Amazonにおいて設定できる販促方法としては、タイムセール、スポンサープロダクト広告、クーポン、プロモーション、VINE、定期おトク便、Amazonポイントなど、数多くのプログラムが用意されています。
特に「Amazonポイント」について、実は日本Amazonのみでリリースされているプログラムであることをご存じでしたでしょうか。
市場規模として2兆円近いとも言われる日本の「ポイント文化」において、Amazonポイントは特別に日本のみで用意されているのです。しかし、Amazonにおける販売促進プログラムとして、弊社では推奨しておりません。
Amazonポイントが販促に不向きと考える理由
Amazonポイントは、商品金額に対するパーセンテージをポイントとして還元する仕組みです。そしてそのポイントは日本Amazon内での購入時に利用できます。しかし、ポイントを設定した商品が購入されても、そのポイントを付与した当該セラーの販売商品に使われるとは限りません。ここが「クーポン」との大きな違いです。
セラーにとっては単純な値下げで、Amazon及び購入者にとってメリットが大きい施策です。従って、ベンダー(Amazon)で運用している場合、Amazonポイントを付与されているケースが多く見られます。
Amazonポイントは当然ながらAmazonでしか使えません。セラー単位ではなくAmazon全体の売上を上げるためのミッションを持つベンダー部隊が、Amazonポイントを付与したがるのは当然と言えるでしょう。
弊社における事例として、意味もなくAmazonポイントを1%付与しているお客様がおりました。そこで、経費の削減としてその1%のAmazonポイントをまずなくすことを行いました。結果、売上への影響は全くありませんでした。このように、「意味もなく」「なんとなく」Amazonポイントを設定している方は多いのではないでしょうか。
ちなみに、2019年4月、全店舗に対し、Amazonポイントの設定を強制するといった内容の告知があったものの、セラー側からの猛烈な反対及び、独占禁止法上の懸念(優越的地位の濫用)があるとして見送られました。以上の背景から今後もAmazonポイントが強制的に付与されることは考えにくいといえます。
楽天ポイントとの違い
ではなぜ、楽天ポイントはこれほどまでに普及しているのでしょうか。それは、全店舗において最低1%以上の楽天ポイントが付与されているためです。Amazonの場合、ポイントを付与している商品もあれば、付与していない商品もあります。また、ポイント以外にクーポンやタイムセール、プロモーションなど、豊富に値引きと同等の訴求要素があり、ユーザー側の購入フックに「Amazonポイント」を感じ持っている人が少ないからです。
加えて、楽天の場合は「楽天カード」の存在も大きく、その他のサービスとの連携で「楽天=ポイント」というイメージが浸透しています。Amazonの場合は、逆に「値引き・タイムセール」というイメージが強いため、Amazonポイントの設定如何によってCVRへ影響を与えることはほぼありません。
Amazonポイントのメリット
唯一上げられるAmazonポイントを付与するメリットは、値下げ実績が付かないことと考えます。
例えば、どうしても在庫処分をしたい商品があったとして、タイムセールや値下げを実施するも、それを頻繁に行っていると「二重価格」として景品表示法の関係で表記できない場合があります。またそれは、各種ツールにおいて値下げの実績が確認できてしまうため逃れられません。
そうしたときに、Amazonポイントやクーポン、プロモーションを組み合わせられる点で、日本Amazonはその種類が多く柔軟です。また、各種SNSやDM等で訴求のバリュエーションに色を出すことができます。実態は値引きでも、打ち出し方を変えられるわけです。
また、頻繁に価格を変えてしまうと、カテゴリーによっては商品が削除されるケースや、価格の安定性が整わずカートが一律で付与されないこともあります。そうした際に少額のポイントを付与することで安全に価格のコントロールが可能となります。
Amazon Mastercardユーザーへの恩恵
Amazon Mastercardの利用者は、Amazonの利用で通常より多くのAmazonポイントが付与されます。これはAmazon Mastercardの利用によって付与されるAmazonポイントなので、セラーの負担となるものではありません。
また、Amazon MastercardユーザーがAmazonポイントの多い商品を購入しているわけでもないので、こちらをターゲットに設定するのは誤りです。
Amazonポイントまとめ
2%以上の付与で特別なラベルが付されたり、10%以上の付与でAmazonポイントの特設ページに掲載されたりと、いくつか販促に使える要素はあるものの、どれもインパクトが小さい施策であり、効果測定がはかれるほどの働きは期待できないと言っていいでしょう。
以上のように、AmazonポイントはAmazon全体を把握していないと実は扱いづらく、実態は転売セラーの価格競争のツールとして使われているだけと言えます。本来の販売促進機能としての効果は薄く、日本のみでリリースされている機能からも、今後Amazonポイントに対して更に訴求を強化していくとは考えにくいと考えています。